今月の主題 内科疾患としての先天性代謝異常
代謝異常の遺伝的調節
柳瀬 敏幸
1
1九大第1内科
pp.908-914
発行日 1976年7月10日
Published Date 1976/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206632
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いろいろな物質代謝の異常の遺伝的調節の仕組みは,遺伝子と形質との対応という観点から,大きく二つにわけられよう.
一つは,数万とあるヒトの遺伝子のうち1〜2個がふつうとは違っているために特定の物質代謝経路のある段階にあずかる酵素の活性が変更され,その結果,代謝の進行がその段階で完全に,または部分的にブロックされる場合で,このようなものは単因子性の代謝異常と呼んでよつであろう.もう一つは,ひとつひとつの働きは微小な,多数の遺伝子と環境とが複雑に働き合って一連の酵素系の活性が変更され,その結果,物質代謝が障害される場合で,このような仕組みによる代謝異常は多因子性の代謝異常と呼ばれ,おそらく糖尿病や痛風の大部分はこの仕組みによるであろう.
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