今月の主題 消化管潰瘍—診断および治療の現況
消化性潰瘍の成因と診断
吻合部潰瘍
野登 隆
1
,
為近 義夫
2
,
岡部 治弥
2
1北里大学病院健診センター
2北里大内科
pp.1063-1065
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206080
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1889年Braunの胃空腸吻合術後に発生した吻合部潰瘍の報告以来,吻合部潰瘍に関しては,人為発生性の潰瘍,言いかえれば,ある程度医原病の可能性があることより,その成因について多くの論議がなされてきた。また臨床的にも症状や経過等に詳細な検討がなされており,一般に吻合部潰瘍は通常の消化性潰瘍に較べ,疼痛が強く難治性で出血や瘻孔形成などの合併症をひき起こしやすく,したがって再手術の適応と考えられている.
しかし今日のレントゲン,内視鏡診断法の進歩に伴い,比較的臨床症状が少なく予後の良い症例の存在することが知られており,内科的経過観察症例も増えている.以下筆者らの経験例を中心に,文献的考察を加えて,その成因と診断に触れてみたい.
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