今月の主題 消化管潰瘍—診断および治療の現況
消化性潰瘍の成因と診断
Mallory-Weiss症候群
田中 弘道
1
,
鶴原 一郎
1
,
渡部 和彦
1
1鳥取大第2内科
pp.1060-1062
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206079
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1929年,G. K. MalloryとS. Weissがアルコール中毒症患者で頻回の嘔気・嘔吐をくり返した後で大量吐血をきたした剖検例を詳細に検索し,4例に食道・胃接合部から噴門部にかけて縦走する幅2〜3mm,長さ3〜20mmの数条の線状裂溝(mucosal tear, laceration)を認め,この裂創からの出血死として報告した.1932年には,彼らはさらに2剖検例を追加報告し,出血の原因はアルコール性胃炎,消化性潰瘍,肝硬変に伴う出血性びらんあるいは食道静脈瘤破裂によるものではなく,反復してみられた嘔吐による食道・胃接合部あるいは噴門部の粘膜あるいは粘膜下に及ぶ裂創形成によるものであったと報告した.
これ以来,Mallory-Weiss症候群と呼ばれ,今日まで相当数の報告が見られるが,それによると,男性に圧倒的に多く,10歳代から80歳代までの幅広い年齢分布を示すことが知られている.
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