今月の主題 出血傾向の新知識
出血傾向の管理
止血剤とは
三輪 史朗
1
1山口大第3内科
pp.947-949
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206046
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出血傾向の管理に用いられる治療法ないし薬剤としては,血小板減少に対する血小板輸血,凝固因子欠乏症(血友病など)に対する第VIII因子製剤,第IX因子製剤などの血液製剤ないし新鮮血漿輸注や輸血,特発性血小板減少性紫斑病や再生不良性貧血などの血小板減少症に対する副腎皮膚ステロイド剤,血管内凝固症候群(DIC)に対するヘパリン,線溶亢進による出血に対しての抗線溶剤,そしていわゆる血管強化薬とかビタミンK,トロンボプラスチン製剤などの止血剤と称せられる諸薬剤の使用などがあげられる.
出血傾向の治療について最も大切なことはいかなる原因によるか(①血小板の異常か,②血管の異常か,③凝固系の異常か,④線溶亢進のためか,あるいは④これらの異常が複合して生じたものか)の究明にある,原因に応じて上述したように血小板輸血,凝固因子製剤,輸血,抗線溶剤などを十分量適確に用いることによって,多くの出血傾向は管理できる.したがって出血傾向を有する患者に遭遇したら,いたずらにすぐにいわゆる止血剤を用いることなく,まず原因の解明に力を注ぐべきである.
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