治療のポイント
止血剤の使い方
滝川 清治
1
1名大内科
pp.1020-1022
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200903
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まず出血の素因を
出血性素因を治療する場合,出血の因って来るところを分類し各種止血剤の特徴を生かして適用することが出血による生命の脅威をすみやかに取除く意味において,大切なポイントである。出血機転の研究の進歩によって出血性素因も明らかに分類され,止血剤の本質もかなり明らかになり,適合する薬剤の選択が出来るようになった。
出血性素因を分類するには少なくともまず血小板数をしらべなくてはならない。血小板滅少性紫斑病(ITP)は普通の血液塗抹乾燥メタノール固定ギムザ染色標本でも血小板がほとんど認められないことによって診断がつくはずである。血小板減少性紫斑病ではないとわかり,血液凝固時間検査またはThrombotestを行なって凝固障害がなく,毛細血管抵抗検査で減弱していれば血管性紫斑病であろうということになる。血液凝固障害があれば検査が繁雑となる。プラスミン量を測定し増加していれば凝固第四相の活性化(線維素溶解性疾患)である。また,抗凝血素(circulating anticoagulant)が増加していないかを検査する。プロトロンビンを測定し減少があれば凝固第二相の障害,線維素原量を測定し低下していれば凝固第三相の障害である。残つたものが凝固第一相の障害すなわち血友病様疾患であり詳細な検査が必要となる。
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