今月の主題 出血傾向の新知識
知っておきたい出血性素因
血友病とその周辺
福井 弘
1
1奈良医大小児科
pp.923-926
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206037
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血友病は代表的な伴性劣性遺伝性の出血性疾患で,皮膚,粘膜はもとより深部組織,とくに関節内,筋肉内,その他諸臓器,組織の出血を反復するが,凝血学的には第VIII因子活性の欠乏する血友病Aと第IX因子活性の欠乏する血友病Bの2病型に大別されていることは周知のところである.遺伝形式は異なるが,I,II,V,VII,X,XI,XII因子などの凝固因子の先天性障害症も血友病型の出血様式を示すので,これらは血友病類縁疾患として取り扱われている.
従来,血友病および類縁疾患の研究は臨床的観察と凝血学的検索が中心であったが,近年,生化学,免疫学的検索法の進歩とともに,血友病の病因,病態は分子レベルでの究明がなされつつある.また,治療面でも,部分的純化濃縮剤による補充療法が発達している.
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