Japanese
English
診療指針
胸部X線写真による慢性肺気腫の診断
Diagnosis of the Chronic Pulmonary Emphysema using Chest X-ray Film.
西本 幸男
1
,
勝田 静知
1
,
佐藤 哲也
1
,
河内 孝明
1
,
行武 正刀
1
,
野島 達也
1
,
中島 武嗣
1
,
西田 修実
1
,
原田 ユキ
1
Yukio Nishimoto
1
,
Shizutomo Katsuta
1
,
Tetsuya Sato
1
,
Takaaki Kouchi
1
,
Masato Yukutake
1
,
Tatsuya Nojima
1
,
Taketsugu Nakashima
1
,
Osami Nishida
1
,
Yuki Harada
1
1広島大学医学部和田内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Hiroshima University.
pp.343-353
発行日 1964年5月15日
Published Date 1964/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201318
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Ⅰ.緒言
慢性肺気腫は中年以後の男性に比較的多くみられる疾患とされている。例えばFarber及びWil—son1)によれば,肺気腫は米国においては,肺結核よりもまた肺癌よりも遙かに頻度の高い慢性呼吸器疾患であつて,100万人以上の患者があり,而もその大部分が呼吸不具者となつていることに医学上ゆるがせに出来ない問題があると述べている。このように慢性肺気腫は非可逆的進行性の疾患であつて,早期に診断し,治療しなければ成果を期待し得ない疾患の一つであるにも拘らず,従来わが国においては必ずしもその認識が充分とは言い得ない状態であつたようである。例えば昭和36年日本病理剖検輯報2)には13,276例の剖検例が登載されているが,第1表の如くその約3%に当る410例において,あらゆる種類の肺気腫の存在が確認されている。所が第2表の如くこの410例のうち,生前に肺気腫と診断されていたのは,その約11%に当る44例に過ぎなかつた。もちろん解剖学的すなわちStructural emphysemaと機能的すなわちFunctional emphysemaとは必ずしも一致しないという意見もあるので,にわかに断定は出来ないけれども,肺気腫の診断に関しわが国の現状を物語る一事例と考えてもよいようである。
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