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LAPのアイソザイム
アイソザイムは同位酵素,異性酵素などと呼ばれ,「同一基質に対する同一反応を触媒する酵素でありながら,その分子構造が異なる一群を指す」と定義されている.ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)を含むアリルアミダーゼ(AA),シスチンアミノペプチダーゼ(CAP)などのアミノペプチダーゼは基質特異性が必ずしも明確ではなく,現在"LAP"の測定に利用される基質に対して,強弱の差はあるが加水分解を触媒する働きがある.その結果,"LAP"高値血清をセロゲルなどを支持体とする電気泳動で分画し,ロイシンアミドを基質として染色すると三つのバンドが形成され,そのいずれかの増加として識別される.これを"LAP"のアイソザイムとして取り扱ってきた.
これらの酵素についてみると,血清中LAP活性の臨床的異義を最初に報告したFleisher1)(1957)らはL-ロイシルグリシン基質とする測定法で,急性肝炎患者の血清中LAP活性が著明に増加することを指摘した.しかし,彼らの方法は測定が複雑なため普及しなかった.一方,Green2)(1955)らは新しい基質としてロィシル-β-ナフチルアミドを合成し,比色法による簡便な測定方法を発表したが,Goldbarg3)(1959)らは本法によって測定される酵素活性の上昇は種々の原因による肝胆道の閉塞時に共通して上昇を認めると報告した.以来,本法により測定される酵素が"LAP"として臨床診断に広く利用されるようになった.この時期に"LAP"として臨床診断に用いられている酵素は大きく分けて2種類の酵素から成り,特にGreenらの方法により測定される酵素活性の主要な部分は,AAであることが明らかにされるべきであった.さらに,胎盤機能検査法として利用されているCAPもまた,"LAP"活性の測定に利用される合成基質を水解するため,妊娠でも"LAP"が上昇するとされてきた.
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