増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)
村井 哲夫
1
1聖路加国際病院臨床病理部
pp.294-295
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906351
- 有料閲覧
- 文献概要
LAP(leucine aminopeptidase)は,臨床的にはFleisher(1957)らが初めて,L-leucyl-glycineを基質として測定される酵素(EC 3.4.11.1,cystsomal LAP:C-LAP)が急性肝炎で増加すると報告して注目された.Goldbarg(1958)らは,L-leucyl-β-naphtylamideを基質とする方法で測定される酵素(EC 3.4.11.2,microsomal LAP:M-LAP)が膵頭部癌で特異的に増加すると報告し,その後この酵素は閉塞性肝障害で増加することを明らかにした.以来この酵素がLAPと呼ばれ臨床診断に利用されてきた.
一方,Tappy(1957)らが報告したシスチンアミノペプチダーゼ(EC 3.4.11.3,cystine aminopeptidase:CAP)もまたleucyl基をもつ基質を水解することから,妊婦でもLAPは増加するとされ,これは胎盤性LAPと呼ばれてきた.C-LAP,M-LAP,CAPは別の酵素であるが,強弱の差を認めるものの,いずれも“LAP”の測定に利用される基質を水解する性質をもつため,LAPとして臨床診断に使われてきた.ただし,今日LAPとして診断に利用されている酵素は主としてM-LAPである.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.