今月の主題 腎疾患のトピックス
腎不全の問題点
Uremic toxins
中川 成之輔
1
,
山田 多啓男
2
1東医歯大・第2内科
2城西歯科大・内科
pp.1132-1133
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205561
- 有料閲覧
- 文献概要
問題の所在
尿毒症という病名が示すように,腎機能の荒廃によって出現する諸症状を,尿中に排泄されない物質の蓄積によるものと考えるときに,そのような物質をuremic toxin(s)という.腎不全患者をきわめて素朴な態度で観察するとき,このような発想をするのはむしろ自然であるかもしれない.
ところが,非生理的に腎不全患者の血中から見出された物質の毒性を証明するのは必ずしも容易なことではない.さらに,量的にはもっとも多く,日常の臨床の場において腎不全進展の指標とされているureaやcreatinineとの尿毒症状との直接的関連性はほとんど否定されているうえ,水・電解質異常や酸塩基平衡の異常で多くの症状が説明可能であるため,ひところはuremic toxinというといささか古色蒼然たる発想という感じがしたものである.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.