今月の主題 腎疾患のトピックス
腎炎の成り立ち
細胞性免疫の立場から
波多野 道信
1
,
松本 紘一
1
1日大第2内科
pp.1121-1125
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205558
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヒトの糸球体腎炎の発症ないしは疾病進行には免疫現象が大きく関与していることが想定される多くの論拠があり,実際にはこれらの免疫異常と,これを基盤としておこった組織障害,あるいは種々の代謝異常に基づく生体の病態生理学的変調がこれに加わり,糸球体腎炎という臨床像を形づくっているものと思われる.
一般にヒトあるいは実験動物にみられる免疫反応には,流血中の血清抗体に依存する体液性免疫humoral immunityと,マクロファージを含む生きた感作リンパ系細胞(主として胸腺依存型リンパ球)が直接関与しておこる細胞姓免疫cell-mediated immunity(遅延型過敏症)とが考えられているが,このうち細胞性免疫の腎炎の発症および進展に関しては未だ充分に究明されたとはいえない.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.