Senior Course 血清
細胞性免疫
伊藤 忠一
1
1東北大病院中検
pp.119
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907972
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今月より1年間,この欄を担当することになったので,数年来の血清学に関する本欄を通読してみた.あらためて教えられることの多きに驚き,浅学の身をかえりみず本欄の執筆を引き受けた安易さに後悔の念を禁じられずにいる.しかし引きうけた以上,書かねばならない.しかも今まで,あまり扱われることのなかったテーマを選ぼうということで,考えた末に細胞性免疫(cell-mediated immunity:CMI,cellular immunity)および自己免疫性疾患ということを中心に,いろいろなことを書こうという結論に達した.このテーマは臨床検査に携わる人々には,必ずしも直接興味ある問題ではないかもしれない.しかし現在の免疫学の最大の焦点の1つであることは衆知のとおりである.
さて,複雑な生物学的現象としての免疫反応に関与する細胞の分化の方向は大きく2つに分けられる.1つは種々の抗体活性を有する免疫グロブリンを生合成,分泌する体液性免疫(humoral immunity)に関与する細胞への分化の方向であり,他はCMIという概念で総括されている現象に関与するように,特異的に感作される細胞(おもにリンパ球)への分化の方向である.
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