今月の主題 SLE—成因から治療まで
SLEの基礎
液性免疫の立場から
宮脇 昌二
1
1岡山大第3内科
pp.1896-1898
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206324
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はじめに
全身性エリテマトーデス(SLE)患者の血清中には種種の自己抗体が出現するが,その出現様式の多彩さは多くの自己免疫疾患の中でも最大であろう.その代表的なものには細胞の核成分に対する抗体である抗核抗体があるが,そのほかリボゾームを中心とした細胞質成分に対する抗体,赤血球,白血球,血小板,凝固因子などの血液成分に対する抗体,梅毒反応を疑陽性にする抗体,リウマチ因子およびクリオグロブリン,さらにはサイログロブリン,唾液腺,平滑筋,胃壁細胞に対する抗体など,枚挙にいとまがない1).
これらのうちSLEで最も特徴的な態度をとり,本症の診断,経過観察,予後判定の上に,あるいはSLEの病因を論ずる際に重要なものとして,抗核抗体とクリオグロブリンがあげられよう.また多くの自己抗体が対応抗原と抗原抗体反応を起こし,組織障害性に働くためには補体の関与が必要とされ,SLE患者の血清補体価の変動を観察することも重要である.
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