今月の主題 膠原病—最近の考え方
膠原病の病態と免疫異常
細胞性免疫
本田 正明
1
,
坂根 剛
1
Masaaki HONDA
1
,
Tsuyoshi SAKANE
1
1島根医科大学内科
pp.940-944
発行日 1981年6月10日
Published Date 1981/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217194
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自己免疫病は,自己抗体ないしは自己抗原による細胞性免疫が病因的に関与する疾患で,その原因については,今日なお明らかにされていないが,ウイルス感染,遺伝素因,ホルモン異常,および免疫学的要因が複雑に絡みあって,病因的役割を果たしていることを示唆する成績が集積されつつある.さらに,近年のT細胞,B細胞の研究からは,T細胞の減少,とりわけサプレッサーT細胞の減少によって,B細胞の機能逸脱ないし自己抗体の産生という新しい思考過程が脚光を浴びてきている1).すなわち,生体では健康者においても自己免疫反応が絶えず起こっているにもかかわらず,サプレッサーT細胞によるバランスのとれた対応によって,生体の恒常状態が維持されているのに対し,自己免疫疾患状態では,免疫寛容の主役をなすサプレッサーT細胞の機能が低下して,必然的に自己体組織成分と反応する細胞クローンの増生が促され,自己抗原に対する細胞性免疫反応および自己抗体の産生が起こると考えられている.ここでは全身性自己免疫病の原型ともいえる全身性エリテマトーデスを中心にして,その細胞性免疫異常を述べ,さらに慢性関節リウマチのそれについても最近の動向に言及してみたい.
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