今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性
老人における非定型的徴候
慢性硬膜下血腫
半田 肇
1
1京大脳神経外科
pp.2052-2053
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205214
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慢性硬膜下血腫は,一般に成人の男性に圧倒的に多い.典型的な例では,比較的軽微な頭部外傷(打撲部位は大抵前頭部か後頭部)の既往歴があり,数週間〜数カ月の無症状期を経て,頭痛,嘔気,嘔吐,霧視,複視,鬱血乳頭などの頭蓋内圧亢進症状,精神症状,錐体路徴候および意識障害を呈してくる.症状は進行性ではあるが,日により変動があり,経過中寛解,増悪を繰り返すことが多い.
しかし,老人の場合には,このような典型的な症状を呈する例はむしろ少なく,多彩な形をもって現われる場合の方が多い.たとえばBedfordは65歳以上の症例52例中僅か5例のみが典型的な経過をとったにすぎなかったと述べている.以下老年者の慢性硬膜下血腫の臨床的な特徴を述べる.
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