今月の主題 内科医に必要な脳神経外科の知識
注意しておきたい疾患
慢性硬膜下血腫
関野 宏明
1
Hiroaki SEKINO
1
1東京慈恵会医科大学・脳神経外科
pp.2286-2289
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216959
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慢性硬膜下血腫とは
頭部打撲後,一定の期間(通常1〜3カ月)を経て発症し,硬膜とクモ膜の間(硬膜下腔)に血腫が存在する.この血腫の大きな特徴は,血腫が血塊として存在するのではなく厚い被膜に包まれた流動性の液体である点にある.図1aのように硬膜側の被膜(外膜)は,クモ膜側(内膜)より厚く,かつ小血管腔に富み,これよりくり返し出血が起こる.
外傷が原因となることが多い(80〜90%)が,しばしば外傷がきわめて軽く外傷を主訴としないことがあり,診断確定後くわしく問診をしなおして初めて外傷歴が判明することが多く,その診断にあたっては,後述の症候に注目し,常に本症の可能性を念頭において診察することが本症発見のコッであることを強調しておきたい.
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