特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
XI 感染症
3.化学療法剤の使い方
抗ウイルス剤の現状
松本 慶蔵
1
1東北大第1内科
pp.2014-2015
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205202
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近年の抗菌性抗生物質の目覚ましい進展は驚くべきであるが,感染症中でも主要な位置を占めているウイルス感染症に有効な薬剤は極めて少なく,実際臨床に応用されている抗ウイルス剤は4剤にすぎない.かくの如く発展の阻害されている背景にはウイルスが細胞内にて増殖すること,細菌のように細胞壁をもたないことなど多くの理由はあげられるが,ことに大きな要因はin vitroとin vivo成績の解離であり,また毒性の点であった1).
しかし最近Interferonの研究の進展は,これまでagamrnagloburinemia(Bruton type)の患者がウィルス感染症では治癒するメカニズムを教え,さらにInterferonの収量の問題,精製の問題の克服のためにすすめられたInterferon誘発剤の研究は,生体の場でのInterferonの形成過程をますます明らかにした2).現段階では臨床的に急速な進歩はたとえ望めないにしても,その光明に一筋の希望を託することは許されるであろう.本誌の企画に即し,以下,具体的に抗ウイルス剤の応用の現状と筆者の考え方と評価を述べよう.
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