Modern Therapy ウイルス感染症治療に必要な基礎知識
抗ウイルス剤の現況と将来
豊島 滋
1
Shigeru Toyoshima
1
1慶応義塾大学医学部薬化学研究所化学療法部門
pp.567-571
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206469
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.抗ウイルス剤は,ウイルス疾患の化学療法となりうるか
抗ウイルス剤で,現在全身的投与法でウイルス疾患に用いられるものは,influenza症に対するamantadine (Symmetril)のみである。Fluorode—oxyuridineなどが局所的適応でherpes性の角膜炎に有効なことは知られているが,全身的投与を行なうにはあまりにも毒性が強すぎる。
今日まで約30年余りの抗ウイルス剤研究をながめると,ウイルスの宿主細胞との吸着,侵入,脱殻,核酸およびタンパク質の合成,それらの集約と,ついで成熟化の,どこかのステップを抑制するものをみいだそうと多くの努力が払われてきている1〜9)。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.