トピックス
抗真菌剤開発の現状
山口 英世
1
1帝京大学医真菌研究センター
pp.239-241
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902649
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易感染患者に日和見感染として好発する深在性真菌症,特にCandidaやAspergillusに起因する播種性または侵襲性感染の発生頻度は依然として上昇傾向にあると考えられる.こうした疾患の治療に現在国内で使用されている抗真菌剤としては,ポリエン系amphotericin B(AMPH-B),フロロピリミジン系flucytosine(5-FC),イミダゾール系miconazole(MCZ),トリアゾール系fluconazole(FLCZ)およびitraconazole(ITCZ),の5剤が数えられる.しかしいずれの薬剤も有効性または安全性に限界があり,これらの既存薬にみられない優れた特性を持つ新規薬剤または製剤へのニーズは高まる一方である.
これに対応して,国内外の多くの製薬企業において新しい抗真菌性物質の探索・開発は無論のこと,既存薬の新規製剤の開発も盛んに行われている.この動向は,毎年米国で開催されるInterscience Conferenceon Antimicrobial Agents and Chemotherapy(ICAAC)において発表される新規抗真菌剤の数がこの数年常に10剤以上にのぼり(1995年は18剤),抗微生物薬全体の中でも15%以上を占めることからもうかがい知ることができよう.
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