特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
IX 血液・造血臓器
1.貧血の治療
妊娠時における鉄・ビタミン剤の与え方
古谷 博
1
1順大産婦人科
pp.1884-1885
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205150
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妊婦は必要とする熱量のみならず,種々の栄養素の必要量が非妊娠時よりも増加する.とくに妊娠中期以後は,妊娠子宮や肥大した乳腺への血流の供給,下半身の血液量の増加などによって,生理的に循環血流量が増加する.これは血漿量の増加と,赤血球量の増加となっている.この造血の亢進は生理的現象で,limiting factorである鉄の需要の亢進,鉄欠乏,鉄吸収能の増強となってあらわれてくる.妊娠後半期における鉄欠乏状態は,それが著しくならないかぎり,生理的に鉄吸収能の亢進をもたらす生理的homeostasisのあらわれとも考えられるが,元来婦入には妊娠前から顕性ないし潜在性鉄欠乏状態のものが多いので,生理的鉄欠乏をこえた鉄欠乏性貧血に陥りやすい素地がある.
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