治療のポイント
妊娠と貧血—鉄欠乏性貧血を中心に
古谷 博
1
1東大産婦人科
pp.1781-1782
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202036
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妊娠と貧血の問題は古くから関心があり,すでにおおむね解決されてしまつたと考えられているようであるが,それは日常の臨床において,妊娠中の生理的な貧血が分娩後には自然に回復する傾向があるからで,相当に強い貧血が発見されても,妊娠・分娩経過に大きな影響が少ないので,放置されるのが現状のようである。
わが国の婦人に鉄欠乏貧血が多いのは周知の事実であるが,全国調査による妊婦の貧血は,Hb9.9g/dl以下でみると,初妊婦の11.0%,経産婦の12.8%にあり,かなりの貧血者がいて,その大部分は鉄剤によく反応する。また貧血妊婦の頻度には地方差があり,わが国でも明らかにこれが認められている。この統計成績は大学病院における調査成績で,一般綜合病院,保健所などの成績ではこれよりも高率に貧血妊婦がみいだされている。
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