特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
VI 糖尿病・代謝
4.痛風の治療
痛風の食事
小池 五郎
1
1女子栄養大栄養生理学
pp.1784-1785
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205104
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現代人の食生活と痛風
私の友人が最近突如痛風の発作に襲われた.年齢45歳,身長168cm,体重68kg,職業は某公団の管理職.学生時代はラグビー部で活躍し,その後も野球やゴルフで細々ながら運動とは縁を切らずに,健康管理に気をつけてきた.「牛乳は子どもや病人の飲むもの」という程度の「食事認識」の持主だが,夫人の栄養管理も比較的行き届いているし,つき合いとか宴会とかで美食する機会が多いので,栄養状態は佳良.いや,佳良にすぎて,体重が標準よりオーバーしている分ぐらいが,かえってマイナスになっている,と判断される.家系的に痛風の遺伝は認められず,その点,本人にとっては思いもよらぬ発作であった.あとから考えれば油断があったわけだが,この程度の食生活は,社会的地位などから考えればごく常識的なところだから,無知をわらうわけにはいかない.むしろ,やや太り気味で美食をする機会の多い人は,いつ痛風の発作におそわれるかわからない,とある程度覚悟していた方がよいだろう,彼の場合宴会でいささかすごしすぎたあと,発作に見舞われたという.一般にそういうケースが多いということだから,遺伝的素質のない人でも40歳代以上になったら気をっけるようにしたほうがよい,素質のある人,すなわち家系の中に発病者をもつ人は,30歳未満でも発病するというから,とくに注意が肝要である.痛風は,昔は帝王病などといわれ,美酒・美食に耽溺する上流社会人に多かったというが,最近は食糧事情がよくなったせいか,私の友人程度の生活レベルのものにも,こんな病気がふえてきたわけである.
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