今月の主題 膵疾患診断法
膵炎と膵癌
膵癌のみかた—どんな時,疑うか
細田 四郎
1
1京府医大第3内科
pp.1280-1281
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204928
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これはたいへんむずかしい質問である.膵癌の疑いをもった場合に,どの検査で,どのような成績であれば,かなりの確実さで膵癌と診断すべきか,ということであれば,それぞれの検査法について,乏しいながらも多少のデータもあり,まだしも断定的なことを述べることができよう.しかし,まず最初に,どんな時に膵癌を疑うべきか,ということが,最もむずかしいことである.
その理由は,膵は上腹部の腹腔でも最も深奥に位置し,しかも扁平形で,少々膨隆したり腫瘤を形成したりしても,これを触知することは一般にむずかしいからである.さらに,膵癌には特徴的な自覚症状が少なく,症状がやや明瞭になった時期には,もはや晩期癌の状態であることが多い.試験開腹によってはじめて膵癌と診断しうる場合や,それどころか末期にいたってもまだ膵癌以外の疾患を想定していて,剖検によってはじめて膵癌であったことが判明するような場合,すなわち膵癌を他の疾患と誤診することは往々あることである.
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