特集 高齢者の誤嚥
【総論】
どんな時に誤嚥を疑うのか?
齋藤 雄之
1
,
鄭 東孝
1
1国立病院機構東京医療センター総合内科
キーワード:
顕性誤嚥
,
不顕性誤嚥
,
非典型所見
,
誤嚥性肺炎
,
高齢化社会
Keyword:
顕性誤嚥
,
不顕性誤嚥
,
非典型所見
,
誤嚥性肺炎
,
高齢化社会
pp.94-97
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101845
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Case
意識障害の原因が誤嚥性肺炎であった1例
患者:80歳,男性.
主訴:意識障害.
既往歴:脳梗塞(ほぼ後遺症なし).
内服歴:アスピリン®,ガスター®.
現病歴:一人暮らし,介護度1.前日までは普段と変わらない生活をしていた.ヘルパーが訪問するとベッドに横たわり意識レベルJCS2程度であったため,頭蓋内病変が疑われ救急搬送された.来院時,体温36.8℃,血圧128/70mmHg,呼吸数28回/分,脈拍110回/分,酸素飽和度95%,咳嗽・喀痰などは認めなかった.
精査の結果,頭蓋内病変は否定的であり,胸部X線にて肺炎像を認めたため,年齢を考慮し市中肺炎・誤嚥性肺炎の両方の可能性を考慮し抗菌薬投与を行った.その後,速やかに意識状態,全身状態の改善を認めた.
意識状態改善後,本人は普段から咳嗽・むせを感じていなかったが,ヘルパーより最近食事に時間がかかることを指摘されていたことがわかった.後日嚥下造影を施行し,不顕性誤嚥を認めた.当初は市中肺炎の可能性も考慮したが,嚥下造影,日常の様子,脳梗塞既往,内服歴などからは誤嚥性肺炎の可能性が高いと判断した症例であった.
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