今月の主題 膵疾患診断法
膵炎と膵癌
慢性膵炎の診断基準
建部 高明
1
1東北大第3内科
pp.1278-1279
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204927
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はじめに
慢性膵炎が独立した膵疾患として確立されたのは,比較的近年のことである.Comfortら1,2)は1946-1948年に,急性膵炎様の腹痛発作を反復しながら,次第に膵実質の崩壊と線維組織の増生が進展する症例群をchronic relapsing pancreatitis(慢性再発性膵炎)と命名して以来,このような膵病変は1つのclinical entityとして容認され,多くの関心が寄せられるところとなった.その後,全く同様の膵形態像を有する症例でも,明瞭な腹痛発作を反復せずに経過するものや,あるいは全く無痛性に終始するものも存在することが明らかにされた.したがって,慢性膵炎すなわち慢性再発性膵炎とする考え方は修正の必要に迫られ,現在では,臨床経過上,腹痛発作の反復の有無によって,慢性膵炎をそれぞれ慢性再発性膵炎と狭義の慢性膵炎とに分類することが一般的である3).
さて,わが国では,これまで形態的な裏づけのない臨床像を中心として慢性膵炎の輪郭が形成されてきた傾向があったが,病理組織学的なあるいは機能的な知見が次第に集積されるとともに,本症についての考え方は再検討されつつあるのが現状である.
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