細胞学入門・2
細胞核,細胞(形)質
山元 寅男
1
1九大・解剖学
pp.1784-1789
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204430
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III.細胞核(つづき)
a.静止期の核の構造
(3)核小体 動物細胞の組織標本を光顕で観察すると,細胞核の核形質中にいくらか丸く,塩基性色素に強染する小体が存在する.これが核小体である.これを最初に記載したのはFontana(1781年)であった.その後,核小体が細胞の合成機能と密接な関係をもって,その大きさを変えることも注目されてきた.
核小体はDNAに特異的なFeulgen反応を施すと陰性を示し,ピロニンで染色すると陽性を示す.リボヌクレアーゼ(リボ核酸分解酵素)で処理するとピロニン染色性を失う.したがって,核小体はRNA(リボ核酸)を含み,これにタンパクが加わってできている。分離核小体についての生化学的研究から,RNAは細胞形質中に存在するリボゾームのRNAに塩基組成が類似していることも明らかとなり,今日では核雄が,細胞形質におけるタンパク合成の場であるリボゾームの生成に関与していることが知られている.
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