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特集 細胞質分裂
核分裂から細胞質分裂へ
Role of chromosome passenger protein in chromosome segregation and cytokinesis
寺田 泰比古
1
Yasuhiko Terada
1
1ミネソタ大学GCD
1Dept. of Genetics, Cell Biology and Development
pp.209-214
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902397
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細胞周期のM期(分裂期)は,複数の動的な変化が極めて短い時間に順序正しく行われるようにプログラムされた期間である。染色体の凝縮・分離・脱凝縮,核膜の崩壊と再形成,紡錘体形成と細胞質分裂といったM期のプロセスは,数分のオーダーで進行するダイナミックな運動を特徴としている。核分裂と細胞質分裂は密接に制御された関係にあり,もしも,正常な姉妹染色体分配が終了する前に細胞質分裂が始まると,娘細胞の一つは余分な染色体コピーを持ち,他の娘細胞は欠失した異常細胞ができる。これは,発癌や重篤な遺伝子病の原因となり,細胞にはこのような染色体の異数化(aneuploidy)を阻止するための巧妙な「仕掛け」がある1)。
最近になって,クロモゾームパッセンジャー蛋白と呼ばれる蛋白質複合体が,核分裂と細胞質分裂のタイミングを調節する分子である可能性が指摘され,その分子機構が注目されている2,3)。本稿では,クロモゾームパッセンジャー蛋白の役割を中心に,核分裂と細胞質分裂の二つの独立する事象がどのように連携され,遺伝情報が娘細胞へ正確に分配されていくのか,最近の知見を中心に解説する。
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