増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅱ.機能からみたシグナル操作法
2.タンパク質の一生
核─細胞質間輸送
盛山 哲嗣
1
,
岡 正啓
1
Moriyama Tetsuji
1
,
Oka Masahiro
1
1国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所細胞核輸送ダイナミクスプロジェクト
キーワード:
細胞核
,
核輸送因子
,
核膜孔
Keyword:
細胞核
,
核輸送因子
,
核膜孔
pp.488-489
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200321
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
真核生物の細胞には,遺伝情報の保存・伝達を行う細胞内小器官である細胞核(核)が,ほぼすべての細胞に存在する。核は,核膜と呼ばれる二重の脂質膜で覆われており,核膜上にある孔(核膜孔)を通して転写因子やRNAなどの様々な機能分子が核と細胞質の間を行き来している。核輸送因子として,アダプター因子であるimportin αファミリー(ヒトで7種類)と,輸送担体であるimportin βファミリー(ヒトで21種類)が同定されている。Importinファミリーは,核内外の低分子量Gタンパク質RanのGTP型(RanGTP)の濃度のグラジェントによって輸送の方向性を制御され,それぞれが基質特異性を持ち,かつ組織特異的に発現することで,何千種類もの積み荷に対して組織・発生時期に応じた輸送制御を行っている(図)。核─細胞質間輸送は,細胞分化や器官発生,がん,ウイルス感染など様々な生体現象に関与していることから,それぞれの積み荷の輸送メカニズムを知ることは,輸送をターゲットとした医療や創薬に結びつく。本稿では,核─細胞質間輸送機構を解析する手法について幾つか紹介する。
Copyright © 2015, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.