特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XVI.婦人科
5.乳がん
乳がん早期発見のために
太中 弘
1
1日本赤十字病院外科
pp.1512-1515
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204369
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乳がん発生の傾向
昨今はがんに対するPRがゆきとどいたのと,乳がんは胃がんと異なって,直接表面から触れることができるので,患者自身が比較的早期に腫瘤を発見し,がんを心配して来院する女性が多くなったので,潰瘍を伴った晩期のもの(Steinthal III型)は少なくなったが,そのかわり若い女性まで正常の乳腺をがんと誤解したり,あるいは痛みがあるが,がんではないかと心配して来院する女性が多くなってきたので,その診断と治療にはよほど慎重でなくてはならない.とにかく,がんと確診した場合には当然乳房切断術が行なわれるので,患者にがんという病名をかくすことができない.この点が胃がんを胃潰瘍といって,患者をごまかし,一時を糊塗して安心感を与えることができるのと違い,医師にとっても家族にとっても立場が苦しい,そこで,あなたの場合はまだ早期で再発の心配がないからといって安心感をもたせるように心がけるべきであろう.
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