診断のポイント
乳がん早期発見のために
太中 弘
1
1日赤中央病院外科
pp.851-853
発行日 1965年6月10日
Published Date 1965/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200859
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乳がん発生の傾向
昨今はがんに対するPRがゆきとどいたのと,乳がんは胃がんなどと異なつて,直接表面から触れることができるので,患者自身が比較的早期に腫瘤を発見し,がんをおそれて来院する者が多くなつた関係上,潰瘍を伴つた晩期のもの(Steinthal III型)は少なくなつたが,そのかわり若い女性まで正常の乳腺をがん腫と誤解したり,あるいは,痛みがあるが,がんではないかと心配して診察を乞う者も多くなつてきたので,その診断と指導にはよほど慎重でなくてはならない。とくにがんと確診した場合には当然乳房切断術が行なわれるので,患者にがんという病名をかくすことができない。この点が胃がんを胃潰瘍といつて,患者をごまかし,一時を糊塗して安心感を与えることができるのと異なり,医師にとつても家族にとつても立場が苦しい。そこで,あなたの場合はまだ早期で再発の心配がないからといつて安心感をもたせるように心がけるべきであろう。
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