誤られやすい心電図・1
非特異性急性心膜炎の心電図
日野原 重明
1
1聖路加国際病院内科
pp.620-622
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203617
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51歳の男子が2時間つづく胸骨下の重圧感のあと,背部に放散する激痛となり,失神して倒れて,その4時間後に救急車で来院した.その際の意識は明瞭で前胸部痛は中等度につづいていた.血圧は120/70,不整脈はなく,胸骨下部の左縁付近に摩擦音をきいた.白血球数は13750.
第1回の心電図(発病4時間後)は図1の如くであった.II,aVF,V2-6のST上昇,Tの増高は正常のVariantと考えるよりも,心筋硬塞のきわめて初期のST,Tの変化と考えたかったが,胸部誘導のST上昇を有意にとれば,すなわち前壁硬塞のなり初めととれば,II,III,aVFのST降下を伴うべきであるのに,かえって上昇している.急性心膜炎を考えるべきではないか.しかし病歴・所見からは多少問題である.
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