治療のポイント
肝障害患者の化学療法
市井 吉三郎
1
1新大・市田内科
pp.56-57
発行日 1969年1月10日
Published Date 1969/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202511
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肝疾患の重要な部分をしめる急性ウイルス性肝炎に対して,特異的な化学療法のない現在,肝障害患者における化学療法の主な対象は,肝障害に直接的ないし間接的に影響をおよぼしている細菌感染巣,腸内菌叢である.一方では抗生物質はもともと生体にとって異物であり,したがってそれによって肝障害が惹起される場合もあるので,ここに既存の肝障害に対する抗生物質の選択が問題になってくる.このように肝障害と化学療法は密接な関連を有し,実地医療面で慎重な使い分けが要求されるわけである,しかしあまりの慎重さに,化学療法としての所期の治療目的が達成されなくては無意味である.それゆえに,肝障害,および細菌感染に対する正しい判断と抗生物質の特性をよく知ることがたいせつで,これがとりもなおさず治療法のポイントにつながるものと思う.
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