統計
日本人の平均寿命
菅沼 達治
1
1厚生省統計調査部
pp.851
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202294
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明治から昭和も戦前にいたるまでの長い間,平均寿命は45歳前後を示し,人生50年などといわれていましたが,戦後における伸長はいちじるしく,男68.4歳,女73.6歳というのが最近の状況であります.この平均寿命とは,0歳の平均余命をいいますが,この10年間,年平均男では0.5年弱,女では0.6年弱の伸びを続けています.このように平均寿命が長くなったことは,一般には老人が長生きをするように思われがちですが,図の60歳,75歳の傾向線はけっして上昇してはおりません.特に75歳という高齢者は,明治以後平均余命がほとんど伸びていないのであります.このことは若くして死亡していたものが,しだいに長生きをするようになってはきたが,高齢者における死亡状況には,あまり改善がみられないことを意味しております.
ある年齢の平均余命とは,ある年次の死亡状況がそのまま100年も続いたとして,現在すでにその年齢に達しているものが,あと平均何年生きられるかを示すものであります.年齢と死亡との関係は,環境への適応,淘汰,老化現象などにより定まってきますので,0歳の平均余命よりは,乳児というきわめて死亡の危険度の高い時期を通過した1歳のそれのほうが,やや長いことが認められます.
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