全国教室めぐり
アレルギーの臨床を中心に—岩手医大・光井内科
光井 庄太郎
1
1岩手医大光井内科
pp.855
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202296
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私どもの教室は,昭和31年11月内科学第3講座として誕生した.当時は学位審査権もなく,大学院も設置されてはいなかった.教室員5人とベッド15より始めた教室づくりは,苦労ではあったが,なつかしい思い出でもある.地方大学の悲しさで入局者も少なく,年々増加する患者の診療には全教室員があたらねばならなかった.入局早々から医局員は各種のレントゲン検査はもちろん,内視鏡臓器組織の採取,心臓カテーテルまで一応習得しなければならない.そのためか医局内はまったく家庭的で,内科医を養成するにはかっこうな教室ができあがったとも思える.
大学院開設後も研究費や設備の点では,けっして恵まれたとはいえなかった.したがって,目だたなくとも将来を期待できる研究を志し,九大時代に恩師楠教授よりテーマとして与えられた気管支喘息を中心にアレルギーの臨床から研究を始めることにした.さしあたって費用のかからない抗原の作製を手がけたが,このことはこんにちでもアレルギー性疾患の診断および治療に強力な武器を提供してくれる.アレルギーの臨床より始めた教室の研究は,循環器,消化器,糖尿病としだいに範囲をひろめてこんにちに至っている.
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