グラフ
原子吸光装置
高原 喜八郎
1
1専売公社東京病院検査科
pp.1457-1459
発行日 1965年10月10日
Published Date 1965/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血清や体液のような生体試料中の無機元素には,表1に示すごとき種類があり,それぞれの生理的意義についてはおおむねよく知られているものもあれば,一部にはなお不明の点も少なくない。これら元素の定量法は,炎光法によるナトリウム,カリウムを除いては,最近迄は多忙な臨床化学検査室に適した理想的方法は無かつたが,近時原子吸光分析装置の開発普及にともない,病院検査室にも原子吸光法が導入され始めた。この時点に当つて,原子吸光装置についてのグラフ解説が紹介されることは意義あることと思われる。
原子吸光法の原理は図1に示すように,検体を2000℃前後の火炎中に噴霧せしめ,熱解離して原子状となつた目的元素の中へ,その元素で陰極がつくられているランプからのスペクトル線(励起光)を貫通すると,原子粒の密度に比例してスペクトル線の光量が特異的に吸収される現象(Fraunhoffer 線)を利用したものであつて,光電比色法とともに吸光光度法に属するものである。ナトリウム,カリウムの炎光分析はこれとは逆に発光分析であつて,原子吸光法においてはこの発光の影響を打消すための考慮がはらわれている。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.