海外の医学
クッシング症候群を伴う惡性腫瘍
長野 博
1
1聖路加国際病院内科
pp.1207
発行日 1965年8月10日
Published Date 1965/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200953
- 有料閲覧
- 文献概要
悪性腫瘍といえば,普通,体重減少を伴うものが多いが,逆に肥つてくる場合もある。最近,ときどき報告されるようになつた,副腎皮質機能亢進症状を伴う悪性腫瘍がそれで,この悪性腫瘍は内分泌系とまつたく関係なく,転移巣すらも認められない場合がある。
もつとも多いのは肺癌に伴う場合で,その他に胸腺腫,甲状腺癌,膵臓癌,などにみられることもある。E.N.Allottらが,1928年から1959年までの間に報告された,内分泌系に無関係の悪性腫瘍でクッシング症候群を伴う例を集めているが,36例中,肺癌が17例あり,次に胸腺腫10例,膵臓癌6例,その他各1例づつで,肺癌が約半数を占めている。しかも,肺癌の場合,特徴的なのはOat Cell CarcinomあるいはAnaplastic Cancerが圧倒的に多いことである。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.