海外の医学
アメリカにおける腎疾患治療の現状—とくに腹膜潅流法について
飯田 喜俊
1,2
1淀川キリスト教病院内科
2大阪市立大学
pp.1208-1210
発行日 1965年8月10日
Published Date 1965/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200954
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人工腎臓にとつてかわつた腹膜灌流
腹膜灌流といえば,われわれにとつてすでに過去のものであると考えられてきた。しかし,私は一昨年から昨年にかけてアメリカジョージヤ州,アトランタのエモリー大学の内科腎臓病科において,最近の腎疾患の診断,治療について学んだが,この腹膜灌流が腎疾患治療に対し,いかに有用であり,また広く用いられているかを見て,いまさらのように驚いたのである。この現象はしかし,アメリカにおいてもとくにここ数年来,著明であつて,たとえば,急性腎不全の治療においても,以前は主として人工腎臓が用いられたのに対し,いまでは,人工腎臓と腹膜灌流の比が約1対10と逆転,ひんぱんに腹膜灌流が行なわれているのである。一方,わが国においては,現在のところ,一部の病院で行なわれたり,学会で発表されているにすぎない。しかし,人工腎臓が高度の医師および看護婦の技術と,高価な装置を必要とされるのに比べ,これはいかなる小病院ででもできるほど簡易であり,とくにむずかしい技術を要しないことから,今後おおいに一般化され,広く用いられるべきものと思う。
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