海外のシンポジウムから
肝性昏睡—診断・治療上の新しいこころみ(Frederick Steigmann et.al.),他
森 皎祐
1
1慶大相沢内科
pp.1426
発行日 1964年12月10日
Published Date 1964/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200627
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慢性肝疾患あるいはアルコール中毒者が昏睡状態におちいつた場合,はたして真の肝性昏睡,すなわち肝性脳症によるものか他の原因によるものかを適確に定めることは,なかなか困難なことである。従来測定されてきた肝性昏睡時の血中アンモニァ値には,かなりのばらつきがあり,一定でないので,かわりに髄液中のグルタミン濃度を測定してみたところ,後に臨床経過,病理所見などから肝性昏睡と診断された例では,ほとんど例外なく30mg以上の高値を示した。しかも,その測定は簡単に短時間で行なえるので,本法は,肝性昏睡のきわめてすぐれた診断法であると考えられる。また,肝性昏睡で,血中アンモニアの高い症例に,1日最高500gに達する硫酸プロタミンを,他の一般療法と併用して用いたところ,大部分の症例で,アンモニア値ならびに臨床症状の著明な改善が見られた。
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