治療のポイント
偏頭痛
斎藤 佳雄
1
1横浜警友病院内科
pp.390-392
発行日 1964年6月10日
Published Date 1964/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200323
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まず頭痛の鑑別を
神経系の患者を取扱つていると,いわゆる頭痛を訴える者はかなり多い。頭痛を来たす基礎疾患には数多くの原因があり,その痛みの種類も種々あるが,頭蓋内器質的疾患の直接原因による頭痛はその頻度からいつて多いものではない。すなわち脳実質以外に原因のあるものおよび機能的あるいは,精神的原因と思われるものがむしろ多いと考えてよい。しかし一方頻度は少ないとはいえ,器質的疾患を見逃がし,緊急に脳外科的処置をすべきものを放置することは医師の責任である。すなわち頭痛の患者を見た場合には,この患者は外来で治療し得るものか,入院して精査し外科的治療を必要とすべきかを決定することが何よりも大切である。それにはあらゆる頭痛の患者に完全な神経学的検査を施行し,それらを鑑別することが最も大切である。頭痛一般については紙面の都合もあり詳述することはできないが,偏頭痛というものの一般頭痛における意義ということは知つておくべきである。何故ならば偏頭痛のような症状を呈するものの中には,前述の如き脳の器質的疾患と鑑別すべきものが少なくないからである。偏頭痛をmigraineという意味に限定する時は,非常に限られた疾患単位をなしてくるのであつて,いわゆる一側にのみ起こる頭の痛みという意味とは違つてくるわけである。
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