Japanese
English
特集 眼科臨床における診断・治療上の困難例
偏頭痛か緑内障か
A case of migraine simulating glaucoma attack
森田 四郎
1
,
鈴木 昭久
1
,
鳥海 しのぶ
1
Shiro Morita
1
,
Akihisa Suzuki
1
,
Shinobu Toriumi
1
1国立相模原病院眼科
1Sagamihara National Hospital
pp.1367-1369
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203082
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日常診療に従事しながら診断の難しさについてはしばしば悩やまされるが,可能な範囲の検査を実施し,出来るだけ正確な診断を下そうと努力する。しかしそうするのに十分な人員と時間に恵まれていず,設備の点に於いても不足勝ちな場合,徹底した結果が得られないうらみがある。またたとえそれらが可能である場合ですら,真の原因を掴みにくいときがある。特に最近,萄葡膜炎の原因,眼精疲労に対しての原因などその感が深い。嘗つてGordonが萄葡膜炎に関して,"It isunfortunate fact that the ethiology ofuveitis is discovered frequently in theliterature but rarely in patient."という言葉を述べているが,なかなか含みの多い言葉である。さて,本稿でこれから取りあげようとしている診断困難例は,最近しばしば遭遇する眼精疲労と緑内障初期との鑑別である。勿論,眼精疲労は諸種の疾患の症候即ち結果ではあるが,又一方諸種の疾患の原因ともなり得る,まことに掴みどころのない疾患であるが,特に田野辺氏によつて導入された思想からみて,更年期年齢の婦人の緑内障初期のものとの鑑別は困難な場合がある。
一定の期間,治療をし,観察してはじめて診断の可能な場合もあり,その当初に於いて,予後上特に気をつけなくてはならない緑内障であるだけに人知れぬ悩みを懐く。
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