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吾科の臨牀では,頭重感,頭痛を主訴として来院する者は,極く日常の事であるが,患者個々に接して,それが確かに,鼻性であるが,全身的疾患に由来するか或いは耳性であるか等の診断に困難なる場合がある。例えば工藤助教授(文献1)の「ヒスタミン頭痛」なる項の二例報告を読むと二例共,最初耳鼻科の診断を請い,上顎洞蓄膿症の故とせられ,根治手術を施行されたが,治癒せず,更に其の一例では,扁桃腺摘出術を受けたが治癒に赴かぬとて,同氏の臨牀を訪れ,之が,実は,「ヒスタミン頭痛」であつたものであると記載している。
是に報告する赤色偏頭痛の二症例も,患者自らは,その頭痛が「多分鼻から起つてくるのかも知れない」との疑いを持ち,私の許に診察を請うたのである。然し遺憾乍ら,当時私自身,この疾病の詳細を知らず,私も鼻性ならんと思い,治療しているたるが,追々観察の日を経過するに従い,鼻性としては樣相が異る事に気付き,文献をみるに,之が赤色偏頭痛の部分現象としての鼻症状なる事が判明し,大いに反省する所があつたのである。然し乍ら,この赤色偏頭痛なる疾患にしてもヒスタミン頭痛症なるものにしても,吾が国では従来は,説かるゝ所少く,勿論注目されることの寡なかつた疾患である(文献2)。当科領域では,未だ発表をみない樣に思うが,本疾患の概要を知悉し,診断の精細を期する上に,私の経験の経過を述べる事は,徒爾ならずと信じ,本誌上を借りた次第である。
IZUMI reports 2 cases of migraine and des-cribes its symptoms as having a characteristic, daily occurrence of semilateral headache that begin about 1:00 P. M. to last until the early evening. Besides the headache the patients complained of running nose and impaired nasal breathing. Other characteristics that earmark these patients are that they are aggressive in type and featured with flushed facial com-plexion. Differential diagnosis and the me-thod of treatment of this disease are discussed.
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