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編集室より
Y
pp.344
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105052
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●寒くなると「肩が凝る」「膝が痛い」という言葉が口を衝いて出がちです.しかし,それが厳密に肩あるいは膝関節に原局した症状なのかと問われると,返答に窮します.今月の主題座談会の収録中,真の関節炎を見抜くためには,そのような曖昧な患者の言葉をどう内科学的に翻訳し直すかが重要であり,そのために「どう見るか」「どう触れるか」が臨床内科医の卓越したスキルなのだと感じ入りました.見て,それが炎症だとわかる.触れて,それが腫脹だとわかる.人から人へ直接は伝達できない「感覚」を学ぶ難しさ,教える難しさ.実際に患者を見て,触れて,言葉を交わす体験と,「そういうものだ」と教える存在が,現場の財産なのだと感じます.●電子書籍元年を迎え,紙媒体である雑誌の役割を再考する日々に出合った言葉は,「考える術を教えるべきで,考えたことを教えるべきではない」(Cornelius Gurlitt).弊誌アンケートでも,症例検討に関する企画は常に人気が高い領域です.経験と科学的な根拠を結びつける考え方の幅を広げ,深みを増す営みをご紹介し,臨床医学に資する誌面づくりを追求します.本年もご指導賜りますようお願い申し上げます.●1月号から2つの新連載をお届けしています.「医事法の扉 内科編」では,法令や裁判事例を通して,日常診療に潜む陥穽を回避し,より安全な診療に役立つ教訓をご紹介いただきます.「festina lente」では,先達との交流を交えながら,医師とは,医療とは,徒然の想いを綴っていただきます.いずれも日常診療に即効性があり,かつ普遍的な内容です.どうぞご愛読いただければ幸いです.
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