特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
肝腎ミクロゾーム(LKM)-1抗体
佐伯 千里
1
,
銭谷 幹男
1
1東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科
pp.464-465
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104868
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗肝腎ミクロゾーム抗体(anti-liver kidney microsome antibody:抗LKM抗体)は1973年,Rizzettoらにより慢性活動性肝炎患者血清中で初めて発見された,腎臓の近位尿細管と肝細胞の細胞質に対する自己抗体である.抗LKM抗体は間接蛍光抗体法による染色パターンから,3種類(LKM-1, 2, 3)に分類される.現在まで報告されている対応抗原は,抗LKM-1抗体ではcytochrome P450ⅡD6(CYP2D6),抗LKM-2抗体ではcytochrome P450ⅡC9(CYP2C9),抗LKM-3抗体ではuridine diphosphate glucuronosyltransferase(UGT)である.疾患との関連では抗LKM-1抗体はⅡ型自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)に,抗LKM-2抗体は強い利尿作用を有する降圧薬であるtienilic acidによる肝障害に,抗LKM-3抗体はD型肝炎患者の10%程度の血清中にそれぞれ認められる.以下,本稿では臨床的に測定意義の高い抗LKM-1抗体に関して述べる.
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