特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(16)抗LKM抗体
宮地 清光
1
,
樋渡 恒憲
2
Kiyomitsu MIYACHI
1
,
Tsunenori HIWATASHI
2
1慶宮内科医院,保健科学研究所自己免疫血清センター
2保健科学研究所技術開発センター
pp.220-222
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900854
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はじめに
1974年Rizzettoらは慢性活動性肝炎(chronicactive hepatitis)の患者血清中に,抗ミトコンドリア抗体(antimitochondrial antibody;AMA)と異なる自己抗体を発見し,その対応抗原の存在様式より抗肝腎ミクロソーム(liver kidney microsome;LKM)抗体という名称をつけ報告した1).日本ではなぜかその報告はなかったが,当研究所では抗LKM抗体とは別のミクロソーム系の2つの抗体に注目していた2).そこで鑑別のためHomberg教授より同抗体を入手し,1989年から1990年9月まで6例の抗LKM抗体を同定した.これらの症例は,AMA陽性と判定され原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis)が疑われたものもあった.
本抗体の頻度は,AMAの3%以下と思われるが,抗核抗体(antinuclear antibody;ANA),抗平滑筋抗体(antismooth muscle antibody;ASMA)とは共存しないことから,自己免疫性慢性活動性肝炎のtype2を形成していると思われ重要である.
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