特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗ミトコンドリア抗体
平形 道人
1
1慶應義塾大学医学部内科・医学教育統轄センター
pp.460-462
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104820
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は,原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis:PBC)に高頻度(約90%)かつ特異的に検出され,PBCの診断のうえで重要な検査である.胆道系酵素(ALP,γ-GTP)優位の肝機能障害や黄疸を呈し,肝炎ウイルスマーカー陰性で,閉塞性黄疸が否定的な場合,AMAを測定し,PBCの鑑別診断を進める.しかし,すべての細胞に存在するミトコンドリアに対する自己抗体が,肝臓を標的とする臓器特異自己免疫疾患であるPBCにおいて産生される機序は不明である.
AMAの対応抗原にはM1~M9までの亜分画(Berg)がある.このなかでミトコンドリア内膜蛋白に対する自己抗体である抗M2抗体がPBCに特異的であるが,ほかの亜分画に対する抗体は他疾患でも検出される.
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