特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
感染関連検査〈ウイルス関連検査〉
EBウイルス
脇口 宏
1
1高知大学教育研究部医療学系臨床医学部門
pp.400-403
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104806
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
Epstein-Barr virus(EBV)感染に対する免疫反応には細胞性免疫,抗体反応,サイトカイン産生に大別される.代表的疾患である伝染性単核症(infectious mononucleosis:IM)ではEBV感染B細胞に対するCD8陽性T細胞の活性化(異型リンパ球増加)と炎症性サイトカイン産生による発熱,リンパ節腫脹,肝・脾腫,肝機能障害などが観察される.
EBV感染B,TあるいはNK細胞の過剰な増殖とそれに伴うウイルスゲノムの増加がみられると,慢性に進行する場合にはVCA(virus capsid antigen:ウイルスカプシド抗原)-IgG,VCA-IgA,EA(early antigen:初期抗原)-IgG,EA-IgA抗体が著しく高値を示すようになり,感染細胞自体の急性の免疫変調あるいは感染細胞に対する過剰な免疫系の急激な反応でサイトカインストーム,HLH(hemophagocytic lympho histiocytosis)を引き起こす.細胞性免疫がより高度に抑制されると,EBV感染B細胞の増殖が抑制できなくなるので,移植後リンパ増殖症(posttransplant lymphoproliferative disorder:PTLD),ときには悪性リンパ腫に進展する.
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