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陽性値の出るメカニズムと臨床的意義
抗体は宿主の生体防御反応の一つであり,間接的ではあるがその測定は確定診断や免疫の有無を判断するのに利用されている.抗体測定方法は,単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)ではEIA(enzyme immunoassay:酵素免疫測定)法やNT(neuralization test:中和試験)法,FA(fluorescent antibody:蛍光抗体)法,CF(complement fixation:補体結合反応)法などがある.HSVの1型および2型の区別は交差性があるため困難であるが,NT法で判別できる.水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)では,EIA法やNT法,FA法,IAHA(immune adherence hemagglutination:免疫粘着血球凝集反応)法,CF法などがある.どちらのウイルスもEIA〔ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay:酵素免疫抗体)〕法およびFA法ではIgMとIgG抗体を分けて測定することができる.IgM抗体は急性期に上昇し,1年以内に陰性化するため,IgM抗体が陽性であるとワンポイントで診断することができる.しかし,急性期の早期ではIgM抗体がまだ陽性化していないことがあるので,陰性の判断には注意が必要である.一方,NT法,HI法,CF法では急性期と回復期のペア血清で2回測定し,セロコンバージョン(陰性から陽性への変化)あるいは4倍以上の抗体上昇を証明して診断できる.1回の測定で抗体価が高くても確定診断できない.
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