トピックス
hemophagocytic syndromeとEBウイルス
水谷 修紀
1
,
川口 裕之
1
1国立小児医療研究センターウイルス研究室
pp.232-233
発行日 1995年3月1日
Published Date 1995/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902278
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ウイルス感染に伴って発症する組織球増多症はvirus associated hemophagocytic syndrome(VAHS)と呼ばれ,マクロファージによる自己血球貪食像が顕著ないわゆるhemophagocytic syndrome(HPS)の中の一部として分類されている.HPSの中には以前より悪性組織球症(MH)やhistiocytic medullary reticulosis(HMR)と呼ばれる腫瘍性疾患も含まれているが,これらが真に腫瘍性のものであるのか否かについては依然として不明とされている.EBウイルスによるVAHSはHPSの1形態であるが,その本体を明らかにすることはHPS一般の病因や病態の解明につながる可能性がある.
EBウイルス-AHSは一般に高熱,皮疹,肝脾腫大,汎血球減少症,凝固障害を呈し,骨髄,リンパ節において血球貪食を伴う組織球の増多症を示す.臨床的特徴としては高熱,汎血球減少症,肝脾腫が挙げられる.血液検査学的には高フェリチン血症,肝障害,血液凝固障害などがある.骨髄は一般に低形成で未熟なあるいは成熟した組織球の増殖を示し,これらは顕著な血球貪食像を示す.EBウイルスが関与していることは抗EB抗体が上昇していることから示唆される場合が多い.
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