増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
EBウイルス
東田 修二
1
1東京医科歯科大学医学部臨床検査医学
pp.534-535
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906457
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
EBウイルスは通常,幼児期までに唾液を介して初感染するが,症状は示さず(不顕性感染),以後生涯にわたりリンパ球での潜伏感染状態となる.思春期以降に初感染すると伝染性単核球症の発症がみられる.EBウイルスは腫瘍の発症にも関与する.
EBウイルス抗体には,カプシド抗原に対する抗体(抗VCA IgG,IgM,IgA),早期抗原に対する抗体(抗EA IgG,IgA),核内抗原に対する抗体(抗EBNA)がある.これらの抗体価は初感染後,図1のように推移する.抗VCA IgMは初感染の急性期に一過性に出現し,1〜2ヵ月で消失する.抗VCA IgGは終生持続する.抗EA IgGはウイルスの増殖の程度と相関する.抗EBNAは遅れて出現し終生持続する.これらの抗体価を測定すると,表1のようなパターンより,EBウイルス未感染,既感染,初感染による伝染性単核球症,慢性活動性EBウイルス感染症,Burkittリンパ腫や上咽頭癌などのEBウイルス関連腫瘍を診断する根拠となる.
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