特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
糖質および関連物質
グルコース
山口 いずみ
1
,
阪本 要一
2
1東京慈恵会医科大学附属青戸病院糖尿病代謝内分泌内科
2慈恵医大晴海トリトンクリニック
pp.207-211
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104744
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
グルコース(ブドウ糖)は分子量180の単糖で,血液中の糖質の主成分である.生体にとって重要なエネルギー源であり,血中のグルコースの濃度を一般的に血糖値という.生体内のグルコースは腸管からの糖の吸収,肝における糖新生と糖放出,腎からの排泄,骨格筋や脳での糖利用,自律神経およびさまざまなホルモン(インスリン,グルカゴン,カテコラミン,ステロイドホルモン,成長ホルモン)などにより規定され,恒常的に維持される.これらの恒常性が破綻したときに高血糖あるいは低血糖をきたす.
高血糖は主に一過性と持続性に分けられる.例えば,胃切除後症候群は一過性高血糖をきたすが,これは糖質が胃でとどまらずに一気に体内へ吸収され,一過性に高血糖となるためである.また,肝硬変では肝でのインスリン作用が障害されるため食後高血糖を起こす.一方,持続性高血糖状態はいわゆる糖尿病に多くみられ,インスリンの分泌低下や欠乏が主たる原因である.膵β細胞が免疫学的機序により破壊され,絶対的インスリン分泌低下に至るのが1型糖尿病であり,糖尿病の約5%を占める.一方,相対的インスリン分泌低下やインスリン作用障害による慢性的高血糖を特徴とするのが2型糖尿病であり,本邦の糖尿病の大部分を占める.また,インスリン拮抗ホルモン(成長ホルモン,カテコラミン,ステロイドホルモンなど)が過剰な状態でも高血糖を招く.
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